日本企業のAI×PdM事例まとめ——DeNA・SmartHR・LayerX・CyberAgentは何を変えたか

組織と意思決定

「プロトタイプを持ってこい」——これは海外の先進事例ではない。日本のトップ企業で、いま進行している変化だ。ここでは、いま注目している国内事例をまとめておく。

DeNA:企画の“提出物”が変わった

2025年のIVS京都で報告されたのは、企画の提出フォーマットそのものの変化だ。PowerPointやConfluenceの文書ではなく、動くプロトタイプが求められるようになった。ただし冷静な声もある——「プロダクションコードは必ず人の目を入れる」「業績インパクトが出たかと聞くと、まだ“どうだろう”という反応」。プロトタイプは万能ではない。だが、企画の“入口”としては、文書より圧倒的に強い。

SmartHR:PBIの8割をAIが生成

希望者全員にAIコーディングツール(Cursor)を配布。あるプロダクトのPdMは、要望ベースのPBI(バックログ項目)について「8割はそのままリファインメントに出せるものが生成される」と語る。さらに核心的なのはこの指摘だ——分かりやすい文書を書くスキルの重要度は下がり、代わりに「一次情報をフットワーク軽く取る力」と「概念化・標準化する力」が効いてくる。PdMの価値の重心が、静かに移動している。

LayerX:技術用語を知らないPdMが、RAGを自作した

バクラク事業部のPdM組織は、多くがソフトウェア出身ではない。それでも飯沼氏は、2か月ほどコードを触って社内プロダクトを作った。エンジニアに見せると「これRAGですね」「それエージェントですね」。技術の名前は知らなかったが、課題を解くものは作れた。名前は後からついてきた。 さらに飯沼氏は、LLM投資のためロードマップを半年白紙にする決断もしている。自分で作れるからこそ、賭ける方向に確信を持てた。

テックタッチ/LINEヤフー:会議中に、その場で作る

テックタッチの非エンジニアのCPOは、Figma MakeとClaude Codeで1人でプロトタイプを作る。LINEヤフーのPdMは「会議中にパッと作って『これどう?』と議論できるようになった」と言う。かつてプロトタイプは「エンジニアに頼んで数週間待つもの」だった。それが「会議中に作って、その場で議論するもの」になった。この速度差が、意思決定の質を変える。

CyberAgent:6人を3人に。アウトプットは6人分

リテールメディア広告チームは、6名体制をエンジニア2名+ビジネス担当1名の3名に縮小しつつ、6人分のアウトプットを維持しているという。鍵は委任の設計だ。ビジネス担当が「背景・目標・大まかな受入基準」だけを書く→AIが逆質問で要件を深掘り→生成→10項目で採点し、80点未満はやり直し。完全な仕様書は、人間が書かない。チームの標語は「AIが主導者、人間は監督」。

共通しているのは何か

どの事例も、AIに「丸投げ」してはいない。SmartHRは「8割を任せ、2割を調整」。CyberAgentは「方向を示し、AIに深掘りさせ、品質ゲートで担保」。そこには必ず“委任の設計”がある。 そして、企画書ではなく動くもので進め、PdMの重心が「文書を作る」から「検証し、判断する」へ移っている。

あなたの会社は、まだ「30ページの企画書」で動いているだろうか。ここに挙げた企業は、もう別のゲームを始めている。

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